コーティング後1〜2年ではっ水が弱くなったと感じても、コーティング被膜がなくなったとは限りません。水の弾き方の変化と被膜の有無は、必ずしも同じ動きをしないためです。重要なのは、はっ水の有無ではなく、被膜が残っているかどうかです。
本記事では、専門家である筆者が、「被膜(コーティング層)」と「水の動き(はっ水・親水・疎水)」を切り分ける重要性と、コーティング後に起きやすい変化の正しい見方について、あなたの疑問に明確にお答えします。
- コーティング後1〜2年ではっ水が弱くなる本当の理由
- 「はっ水が弱くなった=コーティングが取れた」という誤解について
- 被膜の有無を判断する方法(一般人では判断できない理由)
- コーティングを長持ちさせる秘訣:定期点検の重要性
コーティング後1〜2年ではっ水が弱くなる本当の理由
コーティング後1〜2年ではっ水が弱くなったと感じても、コーティング被膜がなくなったとは限りません。多くの方が「はっ水が弱くなった=コーティングが取れた」と誤解しがちですが、これは大きな誤解です。水の弾き方は見た目の変化として分かりやすい一方で、それだけでコーティング被膜の有無を断定できる指標ではありません。
はっ水系コーティングの被膜表面には、はっ水になる構造が形成されます。その構造に対して、汚れが積み重なったり削れたりすることで、はっ水効果が弱まってきます。
例えば洗車の際の拭きキズ、酸性やアルカリ性などPHが強い溶剤での洗車、雨や水道などのミネラル分の積み重ねなどで、はっ水構造が損なわれてしまいます。つまり、被膜が壊れたわけでも、なくなったわけでもなく、被膜表面の状態が変わっただけということが多いのです。
「はっ水が弱くなった=コーティングが取れた」という誤解
コーティングについて、多くの方が次のような誤解を持ちやすい傾向があります。コーティング後1〜2年ではっ水が弱くなった=コーティングが取れた、はっ水が弱くなったから塗装が汚くなってきた、メンテナンスをすれば、はっ水が復活する、といった認識です。
しかし、これらの認識は大きな誤解です。水の弾き方は見た目の変化として分かりやすい一方で、それだけでコーティング被膜の有無を断定できる指標ではありません。一言で言うと、はっ水の有無と被膜の有無は別物であり、被膜が残っていれば防汚効果は発揮され続けます。
はっ水・親水は関係ない。被膜があるかどうかが全て
コーティングの効果を判断する上で重要なのは、塗装面に保護被膜が形成され、結果として膜厚が確保できているかという点です。はっ水や親水の有無は関係なく、被膜が残っているかどうかが全てです。
コーティングの本来の目的は、防汚効果のある被膜を塗装面に形成し、塗装本体を直接汚れやダメージから守ることです。コーティング剤は「はっ水させること」だけを目的に作られているわけではありません。汚れを落としやすくすること、雨ジミを付きにくくすること、塗装を守ることを目的として開発された結果として、「はっ水している」「親水している」「疎水になっている」という水の動きが現れます。コーティングの基礎知識については、ガラスコーティングとは?特徴・効果・料金相場を専門店がやさしく解説の記事もあわせてご覧ください。
つまり、「コーティング膜=はっ水」ではないという事をご理解ください。コーティングの効果は「被膜が残っているかどうかが全て」です。本来のコーティングは塗装面に保護被膜を形成し、その被膜が塗装を守る”盾”として機能する状態を指します。この被膜が形成されていれば、はっ水力が弱くなっても、防汚効果は発揮され続けます。
「メンテナンスではっ水が復活する」という誤解
「メンテナンスをすれば、はっ水が復活する」と考えている方もいらっしゃいますが、これは誤解です。メンテナンス(研磨や表面調整)をしてもはっ水は復活しません。逆に、メンテナンスをすればするほどはっ水力は弱まります。
はっ水力の復活には「はっ水コートの上塗り」が必要になります。ワックスやはっ水剤を上から塗ることで、一時的にはっ水感を戻すことはできますが、これも被膜の上に一時的な層を追加しただけであり、被膜そのものの状態を改善したわけではありません。重要なのは、被膜が残っているかどうかであり、はっ水の有無や強弱ではありません。コーティング剤の詳細については、【化学者が本音で語る】自動車用コーティング剤のうんちく|傷防止は幻想か、知るべき真実の記事で詳しく解説しています。
一言で言うと、メンテナンスではっ水は復活せず、はっ水を復活させたい場合は上塗りが必要です。しかし、被膜が残っていれば防汚効果は発揮され続けるため、はっ水の有無にこだわりすぎる必要はありません。
被膜の有無を判断する方法:一般人では判断できない理由
被膜が残っているかどうかを、自分で判断する方法はあるかというご質問をいただくことがあります。残念ながら、一般人が被膜の有無を正確に判断するのは非常に困難です。
被膜の有無を正確に判断するには、以下のような特殊な環境と技術が必要です。
- 特殊なライティング(光の当て方)による観察
- 膜厚測定器による数値的な確認
- 専門的な知識と経験に基づく判断
- プロショップの特殊な環境(照明、角度、観察方法)
「洗車で汚れが落ちやすいか」「雨シミが急に増えていないか」といった目安はありますが、これらは被膜の有無を断定する指標ではありません。あくまで、被膜が機能している可能性を示す「参考情報」に過ぎません。コーティング後の汚れに関する詳しい情報については、コーティング後の車の汚れに関するお悩み相談の記事もあわせてご覧ください。
一言で言うと、被膜の有無を正確に判断するにはプロショップの特殊な環境と技術が必要なため、定期的なプロショップでの点検を受けることが合理的です。
コーティングを長持ちさせる秘訣:定期点検の重要性
被膜の有無を正確に判断するには、プロショップの特殊な環境と技術が必要です。そのため、定期的なプロショップでの点検が、コーティングを長持ちさせ、コストパフォーマンスを上げる最大の秘訣です。
人間の健康診断と同じです。早期発見が一番治しやすく、お金もかかりません。車のコーティングも同じです。定期的にプロショップで点検を受けることで、被膜の状態を正確に把握でき、問題を早期発見し、適切な対処ができます。
大きなトラブルになる前に、小さなメンテナンスで済むため、結果としてコストパフォーマンスが向上し、コーティングを長く、効果的に使い続けられます。
被膜の状態を正確に把握できる
問題を早期発見し、適切な対処ができる
大きなトラブルになる前に、小さなメンテナンスで済む
結果として、コストパフォーマンスが向上する
コーティングを長く、効果的に使い続けられる
「はっ水が弱くなったから、コーティングをやり直そう」と判断する前に、まずはプロショップで被膜の状態を確認してもらうことをおすすめします。被膜が残っていれば、やり直す必要はありません。
一言で言うと、定期点検を受けることで、被膜の状態を正確に把握し、不要な再施工を避けながら、コーティングを長く効果的に使い続けられます。はっ水が弱くなったからといって、すぐに再施工を判断するのではなく、まずは専門店で点検を受けることが合理的です。
定期点検で確認すること
プロショップでの定期点検では、以下のような項目を確認します。
- 被膜の有無と状態(特殊なライティングによる観察)
- 膜厚の測定(数値的な確認)
- 被膜の劣化状況
- 必要なメンテナンスの有無
- 再コーティングのタイミング
これらの確認により、「はっ水が弱くなったからやり直そう」という誤った判断を避け、「被膜が残っているから、まだ使える」という正しい判断ができます。
よくあるご質問
この記事の要点を一言で言うと、コーティング後1〜2年ではっ水が弱くなったと感じても、コーティング被膜がなくなったとは限りません。重要なのは、はっ水の有無ではなく、被膜が残っているかどうかです。被膜の有無を正確に判断するにはプロショップの特殊な環境と技術が必要なため、定期的なプロショップでの点検を受けることが、コーティングを長持ちさせ、コストパフォーマンスを上げる最大の秘訣です。
- コーティング後1〜2年で、はっ水がほとんど無くなったのですが、コーティングはやり直しですか?
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はっ水が弱くなったからといって、コーティング被膜がなくなったとは限りません。被膜の有無を正確に判断するには、プロショップでの点検が必要です。まずは専門店で被膜の状態を確認してもらい、その結果に基づいて判断することをおすすめします。
- メンテナンスをすれば、はっ水は復活しますか?
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いいえ、メンテナンスをしてもはっ水は復活しません。逆に、メンテナンスをすればするほどはっ水力は弱まります。はっ水力の復活には「はっ水コートの上塗り」が必要になります。ワックスやはっ水剤を上から塗ることで、一時的にはっ水感を戻すことはできますが、これも被膜の上に一時的な層を追加しただけです。重要なのは、被膜が残っているかどうかであり、はっ水の有無ではありません。
- 被膜の有無を、自分で判断する方法はありますか?
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残念ながら、一般人が被膜の有無を正確に判断するのは非常に困難です。被膜の有無を正確に判断するには、プロショップの特殊な環境(ライティングなど)と技術が必要です。そのため、定期的なプロショップでの点検をおすすめします。健康診断と同じで、早期発見が一番治しやすく、お金もかかりません。
- 定期点検はどのくらいの頻度で受けるべきですか?
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コーティングの種類や使用環境によって異なりますが、一般的には6ヶ月〜1年に1回程度の定期点検をおすすめします。点検により、被膜の状態を正確に把握し、必要なメンテナンスを適切なタイミングで行うことができます。これにより、コーティングを長く、効果的に使い続けられ、コストパフォーマンスも向上します。
まとめ
コーティング後1〜2年で「はっ水が弱くなった」と感じても、それだけでコーティング被膜がなくなっているとは限りません。コーティングの効果は「水がどれだけ弾くか」だけでは判断できません。被膜が塗装の上で”盾”として機能しているかどうかが、コーティング本来の役割を果たしているかどうかのポイントです。
「はっ水が弱くなった=コーティングが取れた」は誤解であり、「メンテナンスではっ水が復活する」も誤解です。はっ水・親水の有無は関係なく、被膜があるかどうかが全てです。一般人は被膜の有無を正確に判断できないため、定期的なプロショップでの点検が、長持ちとコストパフォーマンス向上の秘訣です。
被膜の有無を正確に判断するには、プロショップの特殊な環境と技術が必要です。専門知識を持つプロの「定期点検」と「適切なメンテナンス」を選ぶことが、結果的に最もお得で安心な選択となります。専門店では、これらの特徴を最大限に生かしつつ、さらにユーザーの悩みである「効果の持続期間最大化」や「コストパフォーマンス向上」を重視したメニューの提供をするために日々メーカーと情報共有しながら材料改善をし続けています。
プロの定期点検と適切なメンテナンスにより、コーティング本来の効果を最大限に引き出すことができます。「はっ水が弱くなった=コーティングが取れた」という誤解を解き、本当の価値である”防汚・保護”を理解することが、長く愛車を美しく保つ第一歩になります。
被膜が残っているか自分で判断せず、専門店の無料診断で状態をチェックしてもらうのが安全です。はっ水コーティングの詳細・料金はこちら、料金表はこちらをご確認ください。選びで迷われている方は、ぜひ専門店にご相談ください。サービスメニュー一覧はこちら

