「9H硬度」の正体 ── JIS鉛筆硬度テストとは何か
コーティングの広告で「9H硬度で愛車を鉄壁ガード!」って見かけたんですけど、本当にそんなに硬いんですか?
残念ながら、その宣伝文句はかなり誤解を招く表現です。累計6,500台超のお手伝いをしてきたプロとして、9H硬度の本当の意味をお話しします。
この記事でわかること
- 鉛筆硬度とモース硬度の致命的な混同
- 硬度比較表 ── JIS鉛筆硬度 vs モース硬度 vs 実用シーン
- 「10H」はさらに悪質なマーケティング
- じゃあ何を基準にコーティングを選べばいいのか
「9H」「10H」── カーコーティングの広告やWebサイトで頻繁に目にするこれらの数字。まるでダイヤモンドのような硬さで車を守ってくれるかのような印象を与えますが、この数字の意味を正しく理解している消費者はほとんどいないのが現実です。
カーコーティングの「9H」は、JIS K 5600-5-4(塗料一般試験方法 ── 機械的性質 ── 引っかき硬度・鉛筆法)に基づく鉛筆硬度テスト(Wolff-Wilborn法)の結果を指します。
このテストの内容は極めてシンプルです。
- 鉛筆を45度の角度で塗膜に押し当てる
- 一定の荷重をかけて線を引く
- 塗膜に傷がつかない最硬の鉛筆グレードを記録する
鉛筆の硬度は6B(最軟)から9H(最硬)まで17段階。9Hとは、最も硬い鉛筆で引っかいても傷がつかなかった、という意味に過ぎません。
鉛筆硬度とモース硬度の致命的な混同
9Hって聞くとすごく硬い印象を受けるんですが、何が問題なんですか?
問題は「9H」という数字が、全く別の硬度スケールと混同されていることです。ここが最大のミスリードです。
多くの消費者が9Hと聞いて連想するのは「モース硬度」です。モース硬度は鉱物の硬さを示すスケールで、10がダイヤモンド、9がコランダム(サファイア・ルビー)。しかし、コーティングの9Hはモース硬度の9とは全く別物です。
| スケール | 9Hの意味 | 実際の硬さのイメージ |
|---|---|---|
| JIS鉛筆硬度(コーティングの9H) | 最硬の鉛筆で傷がつかない | モース硬度で約2~3(方解石レベル) |
| モース硬度(鉱物学) | コランダム(サファイア)の硬さ | ダイヤモンドの次に硬い鉱物 |
そもそも鉛筆の芯はグラファイト(黒鉛)でできており、モース硬度ではたった1~2です。つまり、9Hの鉛筆硬度テストとは「モース硬度1~2の物質で引っかいて傷がつかない」ことを証明しているだけなのです。
砂埃の主成分である石英(クォーツ)のモース硬度は7。鉄粉のモース硬度は4~4.5。これらに対して、鉛筆硬度9Hのコーティングは無力です。洗車で砂を引きずれば傷はつきますし、飛び石で欠けることもあります。
硬度比較表 ── JIS鉛筆硬度 vs モース硬度 vs 実用シーン
具体的にどれくらい違うのか、もっと詳しく知りたいです。
JIS鉛筆硬度とモース硬度、そして実際に車に接触する物質の硬度を一覧にしました。
| 物質・状況 | モース硬度 | JIS鉛筆硬度との関係 | 車への影響 |
|---|---|---|---|
| 爪・指 | 2.5 | 3H~5H相当 | 軽い擦り傷 |
| 鉛筆の芯(グラファイト) | 1~2 | 鉛筆硬度テストの対象そのもの | ─ |
| 銅貨(10円玉) | 3.5 | 5H~7H相当 | 線傷 |
| 鉄・鉄粉 | 4~4.5 | 鉛筆硬度スケール超 | 刺さり傷・サビ |
| ガラス | 5.5 | 鉛筆硬度スケール超 | 割れ・欠け |
| 砂粒(石英・クォーツ) | 7 | 鉛筆硬度スケール超 | 洗車傷の主原因 |
| 飛び石 | 6~7 | 鉛筆硬度スケール超 | 塗装の欠け(チッピング) |
| ダイヤモンド | 10 | 鉛筆硬度スケール超 | ─ |
洗車時にスポンジに付着する砂粒のモース硬度は7です。9Hコーティングのモース硬度は2~3。つまり、砂粒はコーティングの2倍以上硬いのです。「9Hだから洗車傷がつかない」は完全な誤りです。
「10H」はさらに悪質なマーケティング
「10H」って書いてある製品もありますよね?9Hより良いんですか?
この記事の内容についてご相談いただけます
XPEL正規施工店・屋内ブース完備のスタートラストにお任せください
JIS規格の鉛筆硬度スケールに10Hは存在しません。完全なマーケティング用語です。
JIS K 5600-5-4およびASTM D3363で規定されている鉛筆硬度スケールの最高値は9Hです。公式な規格に「10H」という数値は存在しません。
一部のメーカーが独自に「10H」を謳っていますが、これは公式な試験規格に基づかない自社基準であり、第三者検証が不可能な数値です。10Hを宣伝しているメーカーの製品が必ずしも低品質とは言いませんが、少なくとも消費者に対して正確な情報を提供しているとは言えません。
じゃあ何を基準にコーティングを選べばいいのか
9Hが意味ないなら、何を基準にコーティングを選べばいいんですか?
硬度の数字ではなく、もっと実用的な指標で選ぶべきです。13年の経験からお伝えします。
プロの施工店が重視するのは「鉛筆硬度9H」ではありません。以下の5つの実用的な性能指標です。
- 耐薬品性:酸性雨、鳥のフン、虫の体液、花粉ペクチンに対する耐性。塗装を化学的なダメージから守る最も重要な指標です。
- 撥水・疎水性:水弾きの良さは見た目の満足度だけでなく、汚れの付着軽減とウォータースポット抑制に直結します。
- 耐久年数と実績:メーカーの公称値ではなく、実際の施工店が何年の持続を確認しているか。実績データが最も信頼できます。
- 膜厚と柔軟性:硬すぎるコーティングはクラック(ひび割れ)を起こしやすくなります。適度な柔軟性を持ちながら保護性能を発揮するバランスが重要です。
- 施工店の技術力と環境:同じ製品でも、施工環境(屋内ブース・温湿度管理)と施工者の技術で仕上がりは天と地ほど変わります。
スタートラストでは、硬度の数字ではなく、お客様の車種・使用環境・求める効果に合ったコーティングを、創業13年・累計6,500台超の実績データに基づいてご提案しています。「9Hだから良い」ではなく「あなたの車に合っているから良い」── それが本当のプロの選び方です。
よくある質問(FAQ)
9Hの話を聞いて不安になりました。もう少し教えてください。
よくある疑問にお答えしますね。
- 9Hコーティングは全く意味がないのですか?
-
いいえ、コーティング自体は意味があります。問題は「9H」という数字の誇大な見せ方です。コーティングは撥水性・防汚性・耐薬品性・紫外線カットなどの効果で塗装を保護します。これらの実用的な効果は非常に大きく、コーティングの価値は鉛筆硬度で決まるものではありません。「9Hだから買う」のではなく「総合的な保護性能と施工品質で選ぶ」ことが重要です。
- コーティングで傷を完全に防ぐ方法はありますか?
-
コーティングだけでは物理的な傷を完全に防ぐことはできません。物理的な衝撃から塗装を守るにはPPF(プロテクションフィルム)が必要です。PPFは厚さ150~200μmのポリウレタンフィルムを貼り込む保護法で、飛び石や擦り傷から塗装を物理的にガードします。「コーティングで防汚・撥水、PPFで物理保護」の組み合わせが、現在最も合理的な塗装保護戦略です。
ご依頼の流れ
お問い合わせ・ご相談
お電話またはお問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。写真をお送りいただければ、概算のお見積りもお出しできます。
現車確認・お見積り
お車の状態を直接確認し、最適なプランをご提案。正式なお見積りを無料で作成します。
施工(2〜5日)
完全屋内ブースで職人が丁寧に施工。下地処理から仕上げまで、妥協なく仕上げます。
仕上がり確認・お引き渡し
仕上がりをご確認いただき、日常のメンテナンス方法をご説明してお引き渡しです。
施工を考えているんですが、まず何をすればいいですか?
お気軽にお問い合わせください。お見積りは無料で、しつこい営業も一切しません。写真をお送りいただければ概算もお出しできますよ。
まとめ ── 数字に惑わされず、本質を見極めよう
9Hの意味がよく分かりました。結局どうすればいいですか?
数字ではなく「実績」と「技術力」でコーティング店を選んでください。
9Hコーティングの「嘘」は、コーティングが無意味ということではありません。鉛筆硬度テストの結果を、あたかもダイヤモンド級の硬さであるかのように宣伝するマーケティング手法が嘘なのです。
コーティングの本当の価値は、撥水性・防汚性・耐薬品性・紫外線カットによる総合的な塗装保護にあります。「9H」の数字ではなく、施工店の技術力・施工環境・実績・保証内容で選ぶことが、大切な愛車を本当に守る第一歩です。
スタートラストは2010年創業、創業13年超で累計6,500台超の施工実績を持つ名古屋のコーティング専門店です。完全屋内ブース施工・最長7年保証・代車無料。「9Hの宣伝」ではなく「実績と技術」で選んでいただけるよう、日々施工に向き合っています。
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