カーフィルムを貼ったらディーラーに入庫を断られました。車検に通る透過率なのに、なぜですか?
保安基準をクリアしている車両の入庫拒否は、法的にも論理的にも問題がある行為です。この記事では、愛知トヨタが実際に配布した書面をもとに、カーフィルム施工専門店の立場から解説をさせていただきます。
まず最初にお断りさせていただきますが、この文章はJAFA(日本自動車フィルム協会)とは一切関係ないものです。私は個人的にJAFA中部支部の副支部長を拝命いただいており、日々さまざまな議論に参画をさせていただいております中で得た知識を元に、個人的に書かせていただいておりますので、決してJAFA公式の見解ではないことだけ最初にご理解を頂きたく思います。
この記事でわかること
- 愛知トヨタが「カーフィルム施工車は入庫お断り」の書面を出した事実
- 「着色フィルム」と「透明遮熱フィルム」はまったく別物 ― ひとくくりにする誤り
- 保安基準第29条の正しい読み方 ― PT-500で70%以上なら合法
- 「自社施工はOK、他社施工はNG」というダブルスタンダードの法的問題
- 公正取引委員会がトヨタ系ディーラーに警告を出した最新事例
- 入庫を断られた場合の具体的な対処法と相談先
愛知トヨタが「カーフィルム施工車の入庫お断り」を書面で通知しました

愛知トヨタが顧客向けに配布した書面には、明確にこう書かれています。
「一律に前面ガラス及び側面ガラス(運転席より後方の部分を除く)に着色フィルム等を貼付した車両の入庫はお断りさせていただいております」
書面の論理はこうです。「弊社は着色フィルムの透過率測定を行っていない」「経年劣化で保安基準を維持できなくなる可能性がある」「だから一律お断りする」。
ここで注目していただきたいのは、「測定すらしない」という点です。保安基準をクリアしているかどうかを確認せずに、フィルムが貼ってあるという外観だけで一律に拒否しています。
そしてもう一つ。書面の末尾にはこうも記されています。「以前に弊社グループにて紫外線対策等を施工して頂いたお客様車両につきましては、お客様と相談の上で対応させていただきます」。
つまり、自社で施工したフィルムは見るけれど、他社施工は見ないということです。
そもそも「着色フィルム」という表現が間違っています
愛知トヨタの書面では「着色フィルム等」という言葉でフィルム全般をひとくくりにしていますが、この表現自体に大きな誤解があります。
JAFA加盟店がフロント3面(フロントガラス・運転席側・助手席側)に施工するのは「透明遮熱フィルム」であり、着色フィルムではありません。
透明遮熱フィルムは、見た目はほぼ無色透明でありながら、赤外線(熱線)や紫外線を大幅にカットする高機能フィルムです。車内温度の上昇を抑え、エアコン効率を高め、紫外線から肌やインテリアを守ります。当然ながら、保安基準が求める可視光線透過率70%以上を十分にクリアする製品です。
にもかかわらず、「着色フィルム等」という曖昧な表現で透明遮熱フィルムまで一緒くたにし、すべてを一律に拒否する。これはフィルムの種類や性能をまったく理解していないか、あるいは意図的にすべてを同じカテゴリに入れているかのどちらかです。
保安基準第29条が本当に言っていること ― 70%以上なら合法です
道路運送車両の保安基準第29条第3項は、フロントガラスと前席側面ガラスについて「可視光線透過率が70%以上」であることを求めています。
これが唯一の法的基準です。「フィルムが貼ってあるかどうか」ではなく、「透過率が70%以上かどうか」で判断されます。フィルムを貼っていても、合計の透過率が70%以上であれば保安基準に完全に適合した合法車両です。
PT-500で測れば、答えは10秒で出ます

可視光線透過率を客観的に測定する機器が「PT-500」です。これは光明理化学工業製の測定器で、全国の運輸支局(陸運局)が車検検査で実際に使用している機器と同じものです。
2023年1月13日、国土交通省自動車局整備課は全国の地方運輸局に対し、指定工場でのフィルム施工車の検査について事務連絡を発出しました。その内容は明快で、「PT-50やPT-500等の保安基準を満たした測定器で判定するか、それができなければ運輸支局に現車を持ち込んで検査を受けること」というものです。
つまり国は、「測定すれば判定できる」という立場を明確にしています。「測定できないから一律拒否」というのは、国の方針とは異なる独自判断です。
当店では、カーフィルムの施工前後に必ずPT-500で可視光線透過率を測定し、70%以上であることを確認したうえで施工しています。これが専門店としての最低限の責任だと考えています。
「フィルムだけがダメ」はおかしくないですか? ― ガラスも劣化します
愛知トヨタの書面では「経年劣化等により可視光線透過率が低下し、保安基準に適合しなくなる可能性がある」ことを拒否理由の一つとしています。
これは事実として正しいです。フィルムは経年で劣化する可能性があります。しかし、ガラス自体も劣化します。
では、なぜ「ガラスの劣化による透過率低下」は問題にせず、「フィルムの劣化」だけを理由に一律拒否するのでしょうか?論理として一貫していません。
透過率が問題であれば、フィルムの有無に関係なく全車両を測定すべきです。フィルムだけを狙い撃ちにする合理的な根拠は存在しません。
「自社施工はOK、他社施工はNG」― この区別の本当の意味
この記事で最もお伝えしたいのがこの点です。
同じメーカーの同じ品番のフィルムを貼っていたとしても、愛知トヨタで施工した車両は相談に応じ、他社で施工した車両は一律に拒否する。この区別に、安全上の合理性は一切ありません。
保安基準が求めるのは「可視光線透過率70%以上」という結果であり、施工した業者の名前ではありません。
では、この区別は何のためにあるのでしょうか。
それは、安全の確保ではなく、フィルム施工の自社囲い込みと見るのが自然な解釈ではないでしょうか。「フィルムを貼りたいなら、うちで貼ってください」と言っているのと同じです。これは消費者のサービス選択の自由を制限し、他のフィルム施工業者の営業機会を不当に奪う行為です。
この記事の内容についてご相談いただけます
XPEL正規施工店・屋内ブース完備のスタートラストにお任せください
当店を含む専門店は、施工前後のPT-500測定と透過率証明書の発行を標準で行っています。客観的なデータで保安基準への適合を証明できる以上、施工業者の名前で差別する理由はどこにもありません。
「メンテナンスパック」という囲い込みの構造
ディーラーは新車販売時に「メンテナンスパック」という保守契約を用意しています。定期点検やオイル交換がセットになった、ユーザーにとって安心感の高い良いサービスです。これ自体は否定しません。
しかし問題は、このメンテナンスパックを盾にして、ディーラーが認めないパーツの装着や社外品の取り付けを総じて排除しようとする姿勢が透けて見えることです。カーフィルムの入庫拒否もその延長線上にあります。
「フィルムを貼ったら入庫できません」「社外パーツを付けたら保証対象外です」―― こうした対応が積み重なることで、ユーザーは事実上ディーラーのサービスしか選べない状況に追い込まれます。これこそが、独占禁止法が防ごうとしている「優越的地位の濫用」そのものではないでしょうか。
結局、泣くのはユーザーです。法律に違反していないフィルムを、貼っただけで入庫を拒否され、法律に違反していない施工業者がビジネスの機会を奪われる。法を守っている側が力でねじ伏せられる ―― この状況を、国として看過してよいのでしょうか。
認証工場の公共的責任 ― みなし公務員が恣意的な判断をしてよいのでしょうか

愛知トヨタの書面には「弊社の整備事業場は、国から特定整備事業の認証を受けており」と記されています。ここが重要です。
道路運送車両法第1条は、この法律の目的を「安全性の確保」と「公共の福祉を増進すること」と定めています。認証を受けた整備事業場は、この公共的目的を達成するために国から認められた存在です。
さらに重要なのは、道路運送車両法第94条の7の規定です。指定工場(民間車検場)の自動車検査員は、刑法の適用上「法令により公務に従事する職員とみなす」とされています。つまり、みなし公務員です。
車検という公的業務を代行する立場にある以上、保安基準の判断は客観的な基準に基づいて行われなければなりません。「施工業者が自社かどうか」で対応を変えることは、この公共的使命と相容れないのではないでしょうか。
公正取引委員会が動き始めています ― トヨタ系ディーラーへの警告
ここからは法律の話です。「おかしい」と感じる直感には、法的な裏付けがあります。
トヨタモビリティ東京への独禁法違反警告(2025年4月)
2025年4月、公正取引委員会はトヨタモビリティ東京に対し、アルファード等の販売時に「ボディコーティングの購入」を不当に条件付けた行為が、独占禁止法第19条(不公正な取引方法・抱き合わせ販売)に違反するおそれがあるとして警告を出しました。
これは、ディーラーが自社サービスの利用を事実上強制することに対して、公正取引委員会が「NO」を突きつけた先例です。
「フィルムを貼りたければうちで施工しろ、さもなくば入庫を断る」という行為は、このコーティング購入強制と同じ論理構造を持っています。
独占禁止法上の複数の問題点
法律の専門家によれば、愛知トヨタの行為は独占禁止法上、以下の複数の条項に抵触する可能性があります。
| 条項 | 内容 | 該当する可能性のある行為 |
| 一般指定 第2項 | 不当な取引拒絶 | 合法車両の整備・車検を一律拒否 |
| 独禁法 第2条第9項第5号 | 優越的地位の濫用 | 保証・リコール対応の独占的立場を利用 |
| 一般指定 第10項 | 抱き合わせ販売 | 「うちで施工し直せば入庫可能」 |
| 一般指定 第11項 | 排他条件付取引 | 他社施工業者の排除 |
| 一般指定 第14項 | 競争者に対する取引妨害 | フィルム施工業者の商機を間接的に奪う |
特にディーラーは、メーカー保証・リコール対応・純正部品供給において消費者が他に選択肢を持たない「優越的地位」にあります。この立場を利用して合法車両の入庫を拒否し、自社サービスの利用を事実上強制することは、消費者の利益を一方的に害する行為と評価される可能性が高いです。
入庫を断られた場合の具体的な対処法
もし合法なカーフィルムを施工した車両でディーラーに入庫を断られた場合、以下の窓口に相談されることも一つの方法です。参考にされてください。
- 公正取引委員会(独占禁止法違反の申告) ― 誰でも匿名で相談できます
- 国土交通省自動車局整備課 ― 認証工場・指定工場の監督官庁です
- 自動車メーカーのお客様相談室 ― ディーラーではなくメーカー本体に状況を伝えてください
- 消費者ホットライン(188) ― 消費者トラブルの総合相談窓口です
- 自動車公正取引協議会 ― ディーラーの不適切な取引方法の相談窓口です
ただし上記にご相談されてもすぐに自体が改善されるわけではないと思いますので、その点だけご了承いただきたく思います。やはり相手が巨大企業ですので、そう簡単に態度を変える動きにはならないと思います。
カーフィルムはユーザーにとって間違いなく有益なものです。遮熱、紫外線カット、事故などでの飛散防止。ですので、徹底的に公平性を高めてユーザー目線の社会になるよう声をあげてほしいと思います!
JAFA中部副支部長として、声を上げ続ける理由
僕はJAFA(日本自動車フィルム協会)中部支部の副支部長を務めています。
JAFAは「法令を遵守したフロント3面へのフィルム施工は可能である」という立場を明確にしています。施工後にPT-500等の公認測定器で70%以上を確認し、適法な状態で納車する。これがJAFA加盟店の基本姿勢です。
にもかかわらず、合法な施工を行った車両がディーラーで入庫を拒否されてしまう。お客様が不利益を被り、施工店の信用が傷つく。これは業界全体の問題であり、黙っていていい話ではありません。
「一律拒否」という姿勢は、フィルムの品質や施工技術の問題ではなく、「測定しない」「確認しない」というディーラー側の姿勢の問題です。PT-500は約50万円する測定機器です。安い買い物ではありませんが、車検業務を行う認証工場・指定工場であれば、正確な判定のために導入を検討すべき設備投資ではないでしょうか。
僕はこの問題について、JAFAの勉強会や業界団体を通じて今後も声を上げ続けます。お客様が合法なカスタムを安心して楽しめる環境を作ることが、この業界に携わる者の責任だと考えています。

カーフィルムを安心して施工するために ― お客様へ
最後に、これからカーフィルムの施工を検討されている方、すでに施工してディーラーとの関係に不安を感じている方にお伝えしたいことがあります。
施工店選びで確認すべき3つのポイント
- PT-500等の公認測定器を保有しているか ― 簡易測定器(TM2000等)では保安基準の判定には完全には対応しておりません。車検場と同じ機器「PT-500」で測定してくれるお店を選んでください
- 測定証明書を発行してくれるか ― 施工後の透過率を数値で証明できる書面があれば、万一ディーラーで問題になった際の強力な根拠になります
- JAFA等の業界団体に所属しているか ― 法令・安全基準を継続的に学んでいる施工店は、「貼れればいい」ではなく「合法かつ長期的に安心できる施工」を提供します
当店では、すべてのフロントガラス・前席側面ガラスへのカーフィルム施工において、施工前後にPT-500で可視光線透過率を測定し、測定証明書を発行しています。「貼った後にどうなるか分からない」という不安を、数値で解消することが専門店の役割だと考えています。
カーフィルムの施工やお悩みについては、お問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。
よくある質問(FAQ)
- カーフィルムを貼っていても車検に通りますか?
-
はい、フロントガラスと前席側面ガラスにフィルムを貼っていても、「ガラス+フィルム」の合計の可視光線透過率が70%以上であれば、保安基準第29条に適合した合法車両として車検に合格します。重要なのはPT-500等の保安基準を満たした測定器での実測値です。
- ディーラーに入庫を断られたらどうすればいいですか?
-
まず施工店で発行されたPT-500の測定証明書を提示し、保安基準に適合していることを伝えてください。それでも拒否される場合は、自動車メーカーのお客様相談室、公正取引委員会、国土交通省自動車局整備課、消費者ホットライン(188)に相談されることをお勧めします。合法車両の入庫拒否は、独占禁止法上の問題がある可能性があります。
- PT-500とは何ですか?
-
光明理化学工業製の可視光線透過率測定器です。保安基準が要求する「色温度2,856Kの白熱電球光源」の条件を満たし、全国の運輸支局(陸運局)が車検検査で使用しています。2023年1月の国土交通省通達でも参考品として名前が明示された、事実上の公式測定器です。
- フィルムの経年劣化で透過率が下がることはありますか?
-
可能性としてはあります。ただし、品質の高いフィルムを適切な環境で施工すれば、透過率の低下は長期間にわたり極めて緩やかです。当店では施工後も定期的な透過率チェックに対応しています。なお、フィルムだけでなくガラス自体も飛び石やワイパー摩耗で透過率が低下します。フィルムだけを問題視する合理性はありません。
- リコールや保証修理もディーラーに断られますか?
-
安全に関わるリコール対応の入庫拒否は、道路運送車両法の趣旨に反する重大な問題です。リコールは無償で実施されなければならず、合法なフィルム施工を理由に拒否することは認められるべきではありません。万一リコール対応を断られた場合は、国土交通省自動車局審査・リコール課に速やかにご相談ください。
まとめ ― 「測定すれば解決する」、ただそれだけのことです
この問題の本質は、実はとてもシンプルです。
PT-500で測って、70%以上ならOK。それ以下ならNG。国が定めた基準があります。公認の測定器があります。それを使えば10秒で答えが出ます。
にもかかわらず、愛知トヨタの一方的な「測定しない」「一律拒否する」「でも自社施工は見る」という対応を取り続けることは、消費者の不利益であり、自由競争の阻害であり、法律に照らしても問題がある可能性が高いです。
僕はカーフィルム施工の専門家として、またJAFA中部副支部長として、この問題に対して声を上げ続けます。
お客様が安心してカーフィルムを楽しめる世界を作るために。

カーフィルムに関するご相談は、カーフィルム施工メニューをご確認のうえ、お問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。名古屋で創業13年、すべてのフィルム施工にPT-500測定と証明書発行をお付けしています。
この記事を書いたお店
コーティング専門店スタートラスト
愛知県名古屋市中川区。完全屋内ブースで一台一台、丁寧に仕上げています。
コーティング・プロテクションフィルム(PPF)・カーフィルムの施工についてはお気軽にご相談ください。
お車の保護・美装のことならスタートラストへ
名古屋のカーコーティング・PPF・カーフィルム専門店|XPEL正規施工店
最短30秒で送信完了・無理な営業はいたしません

