洗車をしたのに、ボディを手でなでるとザラザラする。その正体の多くは鉄粉です。
当店はコーティングの前に、入ってきたお車の鉄粉を一台ずつ取っています。その現場で分かっている範囲で、鉄粉除去剤の使い方と車の鉄粉の取り方を、自分でできるところと、自分では限界のあるところに分けて書きます。
先に結論
| 答え | |
|---|---|
| 自分で取れる? | 取れることが多いです。市販の鉄粉除去剤(スプレー)と粘土クリーナーで、ザラつきの多くは落とせます |
| どちらから使う? | 先に除去剤で溶かし、残ったものを粘土で取るのが、塗装への負担が少ない順番です |
| 一番の注意 | 直射日光の下や熱いボディで使わない。乾かさない。製品の説明書どおりに |
| 取ったあとは? | 鉄粉を取ったあとの塗装は、表面を守る物が薄くなっています。ワックスやコーティングで保護してください |
鉄粉とは?どこから付くのか
鉄粉は、ボディに刺さるように付いた細かい鉄の粒です。主な出どころは次のようなものです。
- ブレーキダスト(自分の車や前を走る車のブレーキが削れた粉。当店に入るお車で一番多いと見ている出どころです)
- 電車の線路の近く(車輪とレールが削れた粉)
- 工場や工事現場の近くの粉じん
当店の施工では、欧州車は間違いなく鉄粉が多いです。ブレーキダストが主な出どころと思われます。
そのままにすると、鉄粉は酸化が進むと塗装に固着し、錆の原因になることがあります。白い車では、茶色い小さな点として見えることもあります。
鉄粉が付いているかの見分け方
- 洗車をしてボディを乾かします
- 手を薄いビニール袋に入れて、ボディを軽くなでます
- ザラザラ、ポツポツと引っかかる感じがあれば、鉄粉などの付着物が残っています
素手より袋ごしのほうが、小さな引っかかりがよく分かります。
鉄粉除去剤の種類と選び方
| 種類 | 向いていること |
|---|---|
| スプレー(液体) | 吹き付けて置くだけで、鉄粉を溶かして浮かせます。こすらないので塗装への負担が少ない |
| 粘土クリーナー | 刺さって残った鉄粉や、樹液・ピッチなどの付着物を物理的に取ります |
| ラバーパッド・クロス型 | 粘土の代わりに使うゴムや布の道具。洗って繰り返し使える物が多い |
選ぶときは、次の点を見てください。
- コーティングしている車に使えるか(製品の説明に書いてあります。迷ったら施工したお店に確かめてください)
- においの強さ(鉄粉除去剤は独特のにおいがある物が多い)
- ボディ用かホイール用か
鉄粉除去剤(鉄粉除去スプレー)の使い方
市販の鉄粉除去剤は、カー用品店やホームセンターで買えます。多くの製品は、鉄分に反応すると赤紫色に変わり、取れていく様子が目で見て分かります。
- 日陰で、ボディが冷えているときに作業します
- 先にふつうの洗車で砂やほこりを流します(ボディが濡れたまま使うか、拭いてから使うかは製品によって違います)
- 除去剤をスプレーし、製品に書かれた時間だけ置きます
- 乾く前に、たっぷりの水で流します
- やわらかいマイクロファイバーのクロスで、水分を拭き上げます
- ザラつきが残っていれば、次の粘土へ進みます
注意:塗装の種類や、ホイールの材質・加工によっては使えない製品もあります。製品の説明書を読んでから使ってください。
ホイールの鉄粉除去剤の選び方と使い方
ホイールはブレーキのすぐ横なので、ボディよりも鉄粉が多く付きやすい場所です。ホイール用の除去剤も、使い方の基本はボディと同じです。ただし、ホイールの材質や表面の加工によっては使えない物があるため、説明書で確かめてから使ってください。
ガラスに付いた鉄粉
鉄粉はガラスにも付きます。ガラスに使えるかどうかは製品ごとに違うので、説明書の「使える場所」を確かめてください。
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粘土クリーナーの使い方
除去剤で溶け切らなかった鉄粉や、樹液・ピッチなどの付着物は、粘土クリーナーで取ります。
- たっぷりの潤滑剤(泡やスプレー)を用意します
- 粘土を平たくのばし、力を入れずに表面をすべらせます
- 引っかかりが消えたら終わりです。汚れた面は折り返して、きれいな面を使います
- 地面に落とした粘土は使わないでください。砂をかんで、塗装にキズを付けます
粘土は、力を入れたり潤滑が足りなかったりすると、細かいキズが入ります。除去剤を先に使うのは、粘土でこする回数を減らすためです。
当店では、症状に合わせてトラップ粘土を数種類使い分け、タオル型の粘土も取り入れています。どれを使うときも、塗装にキズが付きにくい番手(粗さ)を意識して作業しています。
脱脂シャンプーとは違うもの?
「脱脂シャンプー」もよく見かけます。これは主に油分や古いワックスを落とす物で、刺さった鉄粉を取る物とは役割が違います。鉄粉が気になるなら、除去剤か粘土を使ってください。
鉄粉の取り方の流れと、よくある失敗
ここまでの流れをまとめると、洗車 → 鉄粉除去剤 → 流して拭き上げ → 残りを粘土 → 保護の順です。よくある失敗は次のとおりです。
- 夏の昼間、炎天下で作業して、除去剤が乾いてシミになる
- 粘土を強くこすって、細かいキズを増やしてしまう
- 鉄粉を取ったあと何も塗らずにおいて、すぐにまた汚れやすくなる
- 長く放置して固着した鉄粉を、無理に取ろうとする
自分でできる範囲と、施工店の下地処理の違い
なでてザラつきが取れる程度なら、ご自分の作業で足りることが多いです。
一方で、次のような状態は、自分での作業では限界があります。
- 鉄粉が固着して、除去剤や粘土では取れない
- 鉄粉を取ったら、細かいキズや水ジミが目立ってきた
- このあとコーティングをして長く守りたい
当店は、コーティングは下地の状態がそのまま仕上がりに出ると考えています。そのため、コーティングの前に主に次の順番で下地を整えています。
- 入庫・状態診断:明るい光で、傷・水ジミ・鉄粉の付き方を一台ずつ記録します
- 洗浄・鉄粉除去:中性シャンプーで洗浄したあと、専用の鉄粉除去剤と、症状に合わせたトラップ粘土・タオル型粘土で、鉄粉や異物を取ります
- 下地研磨:細かいキズや水ジミを、1〜2日かけて磨きます
工程のくわしい内容は、ボディコーティングのページで紹介しています。
施工の実例
- アウディQ5 下処理・鉄粉除去:欧州車に多い鉄粉(ブレーキダスト由来と思われる物)を取った例
- メルセデス・ベンツ GLC220d のボディコーティング:ウォータースポットと鉄粉の除去を中心にした例
コーティングのあとの洗車機については、コーティングした車は洗車機に入れていい?でまとめています。
よくあるご質問
鉄粉除去はどのくらいの間隔でやればいい?
走る場所や保管場所で大きく変わります。袋ごしになでてザラつきを感じたら、が目安です。
新車にも鉄粉は付いている?
付いていることがあります。当店では、新車でもコーティングの前にすみずみまで点検し、必要に応じて取り除いています。
コーティングしている車に鉄粉除去剤を使っていい?
鉄粉除去剤の種類によります。成分次第では、コーティングの被膜に悪影響を与えることがあります。施工したお店に確かめてから使ってください。当店で施工したお車で心配なときは、一度お持ちください。
まとめ
当店が一番気にしているのは、塗装にキズを付けずに取ることです。除去剤で溶かし、残りを粘土で、日陰で、説明書どおりに取れば、ご自分でもきれいにできます。取ったあとは、保護までを一区切りにしてください。
固着した鉄粉や、取ったあとに見えてきたキズまで整えて長く守りたいときは、下地処理から任せるのも一つの方法です。ご自分のお車だとどのくらいの費用と日数になるかは、自動お見積で確かめられます。
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