「鏡面仕上げ」「鏡面研磨」という言葉を、車のコーティングを調べていて目にされた方が多いと思います。ですがその意味を、きちんと説明しているページは意外と多くありません。
この記事では、鏡面とは何なのかを、実際に車を磨いている側から説明します。
鏡面とは、光がまっすぐ跳ね返る状態のこと
鏡面(きょうめん)とは、読んで字のとおり「鏡のような面」のことです。車のボディでいえば、まわりの景色や空が、ゆがみなく映り込む状態を指します。

なぜ鏡のように映るのか。理由はひとつです。
表面が平らだからです。
塗装の表面に細かい凹凸があると、当たった光はバラバラの方向に散ります。散った光は目に届かないので、白っぽく、ぼんやりして見えます。表面が平らになると、光はまっすぐ跳ね返ります。だから景色がそのまま映ります。
| 表面の状態 | 光の跳ね返り方 | 見え方 |
|---|---|---|
| 細かい凹凸がある | バラバラに散る | 白っぽい・ぼんやり |
| 平らに整っている | まっすぐ跳ね返る | 景色が映る・深く見える |
「ツヤを足す」のではなく、「散らばりをなくす」。これが鏡面の正体です。
「鏡面仕上げ」とは、その状態を作る作業のこと
鏡面仕上げ(または鏡面研磨)は、塗装表面の細かい凹凸を削って平らにしていく作業です。凹凸の正体は、たとえばこういうものです。
- 洗車キズ … 細かい線キズ。太陽の下で円を描いて見えるあれです
- 水シミの跡 … 水滴が乾いたあとに残る、輪のような跡
- 塗装の肌 … 塗装したときにできる、みかんの皮のような微細な波
これらを少しずつ削って、面をそろえていきます。

よくある誤解「磨けばピカピカになる」わけではありません
ここが一番お伝えしたいところです。
塗装は削れば減ります。そして二度と元には戻りません。
車の塗装は何層かに重なっています。下から順に、下塗り(電着)・中塗り・色の層(ベース)・そして一番外側に透明な層(クリア層)があります。
塗装全体の厚さは、およそ0.1mm(100μm)前後です。
| 厚さの目安 | |
|---|---|
| 塗装全体 | 約80〜130μm(0.08〜0.13mm) |
| うち、一番外側のクリア層 | その一部(車種・年式で幅があります) |
1μm(マイクロメートル)=1mmの1000分の1。100μmでも、0.1mmしかありません。
鏡面仕上げは、この一番外側の層の、さらに表面だけを削る作業です。
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- 削りが足りなければ … キズが残ります
- 削りすぎれば … クリア層が薄くなり、将来そこから傷みます
なお、クリア層だけの厚さは、資料によって15μm程度という指摘から40〜50μmという数値まで幅があります。一般的な膜厚計は塗装全体をまとめて測るため、クリア層だけを分けて知るのは簡単ではありません。車種・メーカー・年式によっても変わります。
つまり、お車ごとに違います。だからこそ、一台ごとに状態を確かめてから判断する必要があります。
「ピカピカにする作業」ではなく、「必要な分だけ削って、それ以上は削らない作業」だとお考えください。
当店がやっていること
塗装の状態は、一台ごとにまったく違います。同じ車種でも、保管環境や洗車の仕方で変わります。
ですから当店では、機械任せにせず、職人が手で触れて、目で確かめながら判断しています。どの深さのキズが残っているか、どこまで削れば消えるか、削らずに残す方がいい場所はどこか。
お預かりは1台あたり3〜7日いただいています。コーティング剤を塗る時間そのものは、そのうちのごく一部です。大半は、この面を整える工程に使っています。
また、完全屋内のブースで作業しています。削ったあとの面はとてもデリケートで、そこにホコリが乗れば、また傷の原因になるためです。
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鏡面とコーティングは、別のものです
混同されやすいのですが、この2つは役割が違います。
| 何をするか | |
|---|---|
| 鏡面仕上げ(研磨) | 塗装そのものを平らに整える。減らす作業 |
| コーティング | 整えた面に膜をかけて守る。足す作業 |
順番があります。整えてから、守る。
凹凸が残ったままコーティングをかけても、その凹凸の上に透明な膜が乗るだけです。コーティングは透明なので、下にあるものを隠す力はありません。
お店を選ぶときに聞いてみるとよいこと
これはどのお店を選ぶ場合にも使えます。
- 「どこまで削るかは、どうやって決めていますか」
一台ごとに見て決めているか、決まった手順で一律にやっているかが分かります。 - 「何日くらい預かりますか」
面を整える工程には時間がかかります。数時間で仕上がる施工とは、かけられる時間が違います。 - 「作業する場所を見せてもらえますか」
削ったあとの面にホコリが乗らない環境かどうかは、仕上がりに直結します。
どれが良い・悪いという話ではありません。目的が違います。短時間で仕上げて価格を抑える方法にも、それが合う方はいらっしゃいます。
よくあるご質問
Q. 鏡面は「きょうめん」と読みますか
はい、「きょうめん」です。鏡のような面、という意味です。
Q. 新車でも鏡面仕上げは必要ですか
新車でも、輸送中や納車前の洗車で細かいキズが付いていることがあります。ただし新車は塗装がしっかり残っているので、削る量は最小限で済みます。状態を見てから判断します。
Q. 磨くと塗装は薄くなりませんか
薄くなります。だからこそ、必要な分だけ削って、それ以上は削らないことが大切です。何度も繰り返し磨ける作業ではありません。
Q. 自分で磨くことはできますか
市販の道具でも、浅いキズならある程度は目立たなくできます。ただし削りすぎは戻せません。深いキズや、濃い色のお車は、状態を見てからの判断をおすすめします。
Q. 濃い色の車のほうが難しいと聞きました
黒や濃紺のお車は、細かいキズが光に当たると目立ちやすいという特徴があります。そのぶん、仕上げたときの映り込みもはっきり出ます。
Q. 鏡面にしたあと、何もしなくていいですか
洗車の仕方で、また細かいキズは入ります。コーティングをかけておくと、汚れが落ちやすくなり、洗車でキズが入りにくくなります。
Q. 一度鏡面にすれば、ずっと続きますか
続きません。使っていれば少しずつキズは入ります。どのくらいで気になるかは、保管環境と洗車の仕方によって変わります。
Q. 鏡面仕上げとコーティングは、どちらを先にやりますか
必ず鏡面(研磨)が先です。整えてから膜をかけます。順番が逆だと意味がありません。
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